アラフォー男のうつ病闘病記

アラフォー男性のうつ病闘病記です。病気のこと、気になったこと、趣味についていろいろと語っていきたいと思います。おっさんと言っていい年齢の男の復活劇(になるはず)なので、良ければ読んでいってください。

精神障碍者が罪を犯すとどうなる?

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今回は精神障碍者がもし犯罪を犯してしまった場合どうなるのか?と言ったことを、私は実際に母を統合失調症の弟に殺害された経験がありますので、自分の実体験も交えつつ記事にしていこうと思います。

目次

 

 

 

<精神障碍者が罪を犯した場合>

 

まずは逮捕されます。これは当然です。

その後検察が起訴するか不起訴にするかを決め、起訴になった場合は裁判にかけられることとなります。

 

この裁判において、弁護人が「精神鑑定」を要求した、と言うのはよく聞くことだと思いますが、これは被告人が重い精神疾患や、知的障害を持っており、心神喪失または心神耗弱」状態にあったと主張するためです。

 

しかし、よくネット等でも目にする意見ですが、「心神耗弱」や「心神喪失」で刑が軽くなったり、そもそも犯罪として成立しないのはおかしいではないか?

犯罪を犯したものを野に放つのか?

といった意見があります。

 

犯罪は犯罪ですし、無罪や減刑に対して憤慨する気持ちはわかります。

私も親族間殺人の遺族ですが、無罪判決を聞いたときは憤慨しました。

しかし、犯罪者が野に放たれるという意見、これは間違いです。

 

それについては後々述べるとしましょう。

まずは犯罪の構成要素について語っていきたいと思います。

 

責任能力の有無>

まず、精神疾患者や、知的障碍者の犯罪の場合、この点が争点になってきます。

 

罪を犯した本人、被告人に、十分な理解能力と、自己を抑制する自制心が認められない場合、「法で規制されている行為をあえて行った」という法的非難を浴びせることができません。

 

したがって犯罪自体が成立しなくなり、罪に問えない。無罪となってしまいます。

私の弟は統合失調症で母を殺しましたが、こういった理由で無罪になりました。

これには刑法39条が適用されます

 

刑法39条

心神喪失者の行為は、罰しない」、「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」

 

この刑法39条を根拠に被告人の弁護人は、精神鑑定を要求し、「心神喪失」または「心神耗弱」を主張します。

 

私の母を殺した弟はこれに該当したため無罪となったのです。

今でも納得のいかない気持ちは若干ながらありますが、それでもなんとか納得はしています。無罪になる場合のメリットもあるのです。

 

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<精神鑑定で無罪の確率ってどのくらい?>

まず弁護人の立場を述べてみましょう。弁護人はしばしば非難の的になる事がありますが、彼らはたとえどんな人間であれ、それが最低最悪な人間であったとしても、弁護を行い、刑を軽くするように努めるのが仕事です。彼らが悪人の肩を持っているわけではないのです。

 

弁護人は、常軌を逸した犯罪の場合(私の弟は統合失調症の妄想によって母を殺しました)、何らかの精神的異常があったとしか考えられないと主張し、精神鑑定を要求します。

その精神鑑定を認めるか認めないかは裁判所側が決めることですが、私の弟は精神鑑定を受けることになりました。

 

そして精神鑑定にかけられ、専門家が鑑定を行い、鑑定結果を裁判所側に提出して、裁判所側が有罪か、それとも「心神耗弱」による減刑か、「心神喪失」による無罪かを決めます。

 

では本項のタイトルに掲げている、

精神鑑定による無罪になる確率はどのくらいでしょうか。結論から言えば、裁判所側は容易には無罪判決を出しません。私が検察官から聞いた話によれば1万件あれば数件程度だそうです。それほどのレアケースなのです。

 

ですから精神疾患患者が犯罪を犯したからと言って、必ず無罪になるわけではないことをここに述べておきます。

 

裁判所の判断は厳しいです。精神鑑定にかけられて、精神的な疾患が認められたとして、報告書が上がってきたとしても、それはあくまで判断基準の参考程度です。

 

容易に無罪にはしません。

 

 

<「心神喪失」で無罪判決になったその後>

一般的に無罪判決と聞けば、無罪放免で野に放たれると思いがちですが、そうではありません。無罪になった場合、検察官が、「精神鑑定によって無罪とされた重犯罪」の場合、「起訴前本鑑定」を裁判所側に要求し、「起訴前本鑑定」が行われます。この起訴前本鑑定で「心神喪失」となった場合に初めて、検察は起訴を100%取り下げます。勝ち目はないからです。

私の事件の場合、検察側は控訴する気でいましたが、この鑑定結果により全面的に起訴を取り下げました。

 

その後は医療観察法の管理下に置かれます。

 

つまりは医療機関に拘束されるわけです。そこで手厚い治療を受けることになります。

入院したのち、退院してくる割合は18%程度で、それ以外はずっと隔離拘束されることになります。ですから「刑務所に入って拘束されるか、病院に入院して拘束されるか」の違いしかありません。

 

刑事罰を受けることとなった場合、服役しながらの投薬治療となります。基本的に投薬のみなので、医師の診察等はありません。これはデメリットです。刑期さえ終えてしまえば、状態がどんなに悪かろうが釈放です。これは危険すぎます。

 

この点は裁判所での証言前に弁護側から強く念を押されました。

 

さて、医療観察法の元、入院して退院した者の18%の内訳ですが、強盗、放火、殺人等罪状によってばらつきはありません。

あくまで患者の病状次第で医師が退院を決めます。

 

再犯率も非常に低いものとなっています。

 

この18%と言う数字をどう見るかも問題でしょう。

 

「18%もの異常者を野に放つのか!」と言う意見もあるかと思います。「18%ならしっかり管理、治療されて退院してきたんだな」と言う意見もあろうかと思います。

 

こればかりは何とも言えません。

ただ状態がある程度改善してからの退院となるので、社会的デメリットも比較的少ないでしょう。また、後見人も付きますし、完全に野放しとはなりません。

 

これまで無罪になった場合のメリットを挙げてきましたが、デメリットも当然あります。相続権の問題です。日本の殺人の半数以上が親族間殺人です。この中でも精神疾患を患っての殺人は比較的多いです。私の場合がそうですが、無罪になった場合、罪がないので相続権が発生します。当然私の弟は殺した母の財産を相続しました。

 

金額にして1000万円です。弟名義の口座に預金していたお金を全部持って行かれました。納得できるでしょうか?私はできませんでした。

以上が無罪になった場合のデメリットです。

 

しかし、これよりも問題になってくるのが、前述してきたものよりもはるかに軽い犯罪を犯した場合の簡易裁判における措置入院です。

 

次項では措置入院に関して述べていきます。

 

措置入院って?>

まず「措置入院」と「医療観察法に基づく強制入院」の違いを見てみましょう。

 

医療観察法に基づく強制入院は、容易に出てくることができません。長期間にわたる入院、拘束が可能です。しかし「措置入院」の場合、数ヶ月で退院と言う運びになります。なぜこうも違うのかと言うと、「医療観察法に基づく入院」は治療が目的であるのに対し、「措置入院」は自害、他害の可能性のある人間を一時的に隔離する目的だからです。ですから自害、他害の可能性がなくなったと医師側が判断した場合、即退院となります。

 

つまりどういう事が起こってくるかと言うと、ストーカーなどの軽犯罪を犯し、心神喪失または心神耗弱とされた精神障碍者は短期間で出てこられるということになります。

 

必然的に再犯率は高まります。そしてまた措置入院、退院、再犯と言ったサイクルを繰り返します。被害者は怯えて暮らさざるを得ないといった、わけのわからない事態が起こってくるのです。

 

これは現行法制度上仕方のない事なのですが、多分に問題をはらんでいる以上、早急に改変が必要であると思います。

 

<総括>

以上が私が経験してきたことを基に得た知識をまとめましたが、どうでしょうか?

考え方が少し変わりましたでしょうか?

 

軽犯罪における措置入院は多分に問題をはらんでいますが、重犯罪における医療観察法に基づく入院は、理にかなったものであると私は思っています。

相続問題等のデメリットも内包していますが、社会的に見て、こちらの方がより迷惑が掛からないと言えます。

 

私はもう弟を憎んでいませんし、それ相応の報いを受けていると思っています。

 

これを読んでなお、無罪は納得がいかないと言う方もいらっしゃるでしょう。

 

人としての感情面で無罪は納得がいかない。それもまた仕方がない事だと思います。

犯した罪には罰を与えてしかるべき。

その通りです。

ですが責任を果たせないものに責任は問えない。

無理やりに責任を取らせたところで、今度は社会的な迷惑になってしまいます。

この点を理解して心神喪失心神耗弱の意味を再度考えてみてください。

以上、拝読していただき、ありがとうございます。